ワイン飲んで泊まって! =屈指の産地、新リゾート構想―地元銀行も一役・山梨

約60のワイナリーが集まる山梨県甲州、笛吹、山梨3市が、「ワインリゾート構想」の具体化に動きだした。

温泉旅館などに泊まりながら、ワイナリーや周辺の観光スポット巡りをゆっくり楽しんでもらう滞在型観光の定着を目指し、地域が一丸となって取り組んでいる。

 県の調査によると、日本屈指のワイン産地である3市を昨年訪れた観光客は約550万人。うち日帰り客が約7割を占めており、宿泊客を増やすことが課題だ。

 そこでまず、ワイナリーが観光客の受け入れ態勢の拡充に乗り出した。創業127年の丸藤葡萄酒工業(甲州市)は古民家を活用したゲストハウスを3月にオープン。ワインの歴史などを学びながら、じっくり試飲できる落ち着いた空間を提供している。大村春夫社長は「随分前から温めていた計画。古いワイナリーの良さを出したい」と力を込める。

 滞在してもらうには、ホテルや旅館での質の高いサービスが重要になる。県などは昨年から、3市にある旅館の従業員らを対象に、ワインの基礎知識や地域観光について学べる研修を実施。修了者はコンシェルジュとして、料理に合うワインを紹介するなど宿泊客のもてなしに当たっている。

 観光客誘致には情報発信も必要だ。山梨中央銀行(甲府市)など県内の六つの金融機関も構想の浸透に一役買おうと始動。職員数は合わせて3500人に上り、山梨中銀の進藤中頭取は「取引先などで山梨のワインをPRできるような知識をもってもらい、情報発信してほしい」と期待を寄せる。職員向けの勉強会開催や、顧客を通じた県産ワインのアピールに取り組んでいる。

 県産ワインの振興に約25年間携わる県観光部の仲田道弘理事は「ワインが売れれば、(手入れが行き届き)ブドウ畑の美しい景観も守られ、多くの観光客に来てもらえる好循環が生まれる」と強調。1本2000円のワインを求めて訪れた観光客が日帰りせずに1泊した場合、宿泊費や土産代など1人当たり2万7000円の消費につながるという。

 目下の課題は、ワイン原料の醸造用ブドウの確保。和食ブームもあり日本ワインの人気は急上昇しており、業界関係者の間で不足が指摘されている。特に白ワインの甲州種の生産拡大が求められているが、農家の人手不足も進み増産は難しいのが現状だ。仲田氏は「ワイナリーでブドウ栽培から醸造まで手掛けるべきだ」と提案している。 

2017.05.31